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腐った妄想の掃き溜め。 slashの気が多分にあるので要注意。

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蝙蝠始準拠。

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 きちんと身なりを整えて、有能な執事から大きく見事な、そして上品に仕上げられた花束を受け取って屋敷を出る。
 大輪の薔薇の花束の、色は黄色。

 なんとなく人に会いたくなくて、運転手つきのリムジンではなく、自分でスポーツカーを走らせた。
 目的地を思い浮かべる。
 あそこに行く度に、自分はあの瞬間から何も変われていないのだと、暗い路地で泣きながら、大きく頼りになる手を求めているだけの子供なのだと、そう思い知らされる。

 協会の墓地の中でも最も眺めの良い広々とした一角。
 父の墓前に花を供える。
 自分の手を見れば、大きさだけは父のそれも超えたはずなのに。
 路地で冷えていった父の手。震える自分を慰めてくれたゴードンの手。いつもそばにあるアルフレッドの手。そして。

 「…父さん。1輪だけ、貰っても、良いかな…?」

 ウェインタワーは既に再建されて、災禍の跡を残してはいない。
 その地下、だだっ広く人気のない駐車場の隅に、1輪の薔薇を置く。
 「貴方のやり方は間違っていた。今でも、これからも、僕は貴方には賛同できない。…だけど」

 それでも、確かに、差し伸べられたあの人の手は大きくて暖かだったのだ。

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