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腐った妄想の掃き溜め。 slashの気が多分にあるので要注意。

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山田版。
よく分かっていない状態で書いた。

=====

 彼は基本的に子供が好きではない。
 やかましいし、人の話を聞かないし、ちょこまかと動き回ってじっとしていなくてとにかく危なっかしいし、見ていて落ち着かないが目を離すのも落ち着かない。
 だからあまり関わり合いになりたくないと思っている。

 大体背中に子供を乗せて地元の妖怪連中と立ち回りなど、誰が好き好んでやるものか!

 「…やれやれ、やっと片付いた。それじゃあ私は」
 「待った。帰る前に家に送っておくれ」
 聞き入れられて当然のように告げてくる。これでは依頼でなくて命令だろう。
 「帰れないほどの距離じゃあないだろう」
 「なら良いじゃないか」
 「なにを面倒な…分かった分かった、分かったから笛を出すのはよせ!」
 まったくもって、子供などただでさえ厄介なのに凶器など持たせるものじゃない。
 あの老人ときたら他人事だと思って面倒なことをしてくれたものだ。

 「ほら着いたぞ。それじゃあ今度こそ」
 「待った、ちょっとそこで待っててくれ! 良いかい、帰るなよ!」
 言うなり子供は家の中に走っていく。
 いったい何だというのだ、悪魔使いが荒いにも程がある!
 ああまったく子供の行動ほど意味の分からないものはない!

 「待たせたね、はい。これを渡したかったんだ」
 意外に早く出てきた子供の手にあったのは、小振りな黄色の薔薇の花束だった。
 目を丸くした彼に、子供は続けて言う。
 「父の日だからね。父じゃないけど世話になっているし」

 本当に、子供の行動ほど意味の分からないものはない。
 だから、花を押し付けて、それじゃあ、と家に戻る子供を見送ってしまったのにも、家路の途中で花を潰さないように抱えてしまったのにも、その花が今も家にあることにも、特に意味はないのだ。

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