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腐った妄想の掃き溜め。 slashの気が多分にあるので要注意。

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映画だけ見て書いた捏造品。

=====

 自分は嘘つきだ。特に彼に対しては。

 彼の重役室で応接ソファにだらしなく座って端末を弄りながら、お小言を聞き流す、振りをする。
「お前の才能は良く分かっている。それだけで十二分にやっていけるレベルのもんだということもな」
 ここで生返事を。
 小さなディスプレイに熱中しているように見せつつ、実は画面なんかロクに見てはいないが。
「だがな、少しばかりこっちにも協力してもらわんとやりづらいんだ…トニー、聞いてるのか?」
「聞いてる、聞いてるとも」
 これは本当だ。そうだとも。
「今夜のパーティーはサボらない、ちゃんとスタートから出る、飲み過ぎない。これでOK?」
「ついでに、誰彼構わずひっかけるな、だな」
「…善処する」

「…善処するんじゃなかったのか?」
「ああ…試みてはみたよ」
 返事はなく、溜め息が聞こえた。
 まあ、そうだろう。
 件のパーティー会場、のっけから飲み続けほろ酔いを通り過ぎたのが確か開始30分頃だったろうか。誰から見ても見事な酔っ払いと化し、それでもなかなかの美女二人(酔っても審美眼は確からしい、自分の場合)を左右に抱えてふらふらしていたところを彼に捕まり、今は二人仲良く自宅に向かう高級車の後部座席だ。

「退屈で、つい、さ。次は気を付けるよ」
「前もそう言っただろう。…何も止めろと言ってるんじゃない、ほどほどにしろと言ってるんだ」
「本当にだ、次は気を付ける。もう懲りたよ…香水くさくて、酒くさくて…気持ち悪いんだ。あんたの葉巻の方がよっぽどマシだよ」
 酔った振りをして彼にしがみつく。
 上等な上着を掴んで胸に顔を埋めれば、嗅ぎ慣れた匂いがして一気に力が抜けた。
「酒くさいのは私もだろう?」
「そんなことない。あんたは平気だ」
 頭を擦り寄せる。
 溜め息と同時に頭を撫でる手が下りてきて、ああ、これでやっと。

 呆れと慈しみの混ざったこの手、溜め息、小言。
 それを得るためだけの素行不良だと知ったら、彼はどんな顔をするのだろう。

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