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腐った妄想の掃き溜め。 slashの気が多分にあるので要注意。

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斬一?

=====

 「覚悟はいいか」

 そう、斬月が尋ねる。

 ちくしょうめ。

 口の中で、もう何度目か分からない悪態を吐いて、埃混じりの唾を吐き出した。
 岩だらけの『練習場』はただでさえ乾燥して喉がヒリヒリというするのに、一日中ばたばたと斬り合っているものだから余計に埃が舞い散ってかなわない。

 「…一護」

 答えを求める低い声。

 …何度目だ?

 覚悟、覚悟、覚悟。
 誰も彼も何度も何度も。

 今さら訊かれるまでもない。

 あの人形に刀を突き立てたときに。
 あの門をくぐったときに。
 アイツの名前を叫んだときに。

 「んなもん、とっくに出来てるに決まってんじゃねぇか!!」

 決まりきってあまりにも明らかなこと。
 そう、ずっとそう思ってきた。
 だけど。

 本能のままに刀を振るう。
 火花を散らしてぶつかり合う、その度に。

 何故、よりにもよって、あんたがその問いを口にするのか。
 その理由が分かってきたんだ。

 力負けして飛び退る。手の中の一振りは、未だ折られてはいない。

 あんたの声は俺の声だ。
 俺が耳を塞ぎ続けてた俺の声だ。
 あんたの問いは俺の不安だ。
 否定し続けてるのに打ち消しきれない。

 だけど刀を折るごとに、鈍い俺もようやく気付きはじめたんだ。

 俺の声はあんたの声だ。
 俺の断言はあんたの疑心を潰してく。

 だから分かるんだ。

 もしこの次、あんたの問いに俺が応えたら。

 じわじわと、あのとき、初めて名前を口にしたときのように、何かが満ちて溢れてく。

 あんたの手の中の一振りを、俺が折り飛ばしたら。

 あんたと俺の境目は、それで消えて失せるはず。

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