腐った妄想の掃き溜め。 slashの気が多分にあるので要注意。
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TDKR準拠。
超人蝙蝠が好きです。
が、なんだこれ。
=====
超人蝙蝠が好きです。
が、なんだこれ。
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キャリーとは仲が悪い。と、ラーラは思っている。
そもそも父親同士(むこうは父親じゃないがまあ似たようなもの)の仲が悪い。穏やかな父が激昂するときは概ねむこう・・・ブルースが絡んでいる。
ラーラもブルースが嫌いだ。尊敬する父にあんな口を利くなんて! だいたいやり方も気に入らない。罠に不意打ち騙し討ち、相手の嫌がりそうなことを執拗に。敵の虚を突くといってもあれではやりすぎだ。実は、ひょっとしたらノイローゼか何かなのではと疑ってすらいる。
キャリーが父をどう思っているかは知らない。あまり話したことがないからだ。けれどあれだけ忠実に従うのだから、ブルースと同じように、父を嫌っているのだろうと思っている。
だからラウンジでキャリーとはち合わせたとき、彼女にしては珍しく、どうしたものかと悩んでしまったのだった。
気まずいことに他には誰もいない。
だが幸いにして彼女はなにやら端末にかじりついてブツブツ言っていて、こちらには気付いていない。このままUターンしたってーーー
「ラーラ?」
「!!」
ガタン!
・・・空を飛べたって、驚けば椅子にぶつかることもある。目から熱線が出せたって、いきなり後ろから父親に呼ばれれば驚きもする。というか驚くに決まっている。
だから、思わず椅子にぶつかって、その音にキャリーが振り返ったのだって別に自分のせいではない。と思う。
「ああ、キャリーも。こんなところでまで仕事かい?」
「あらクラークさん。お二人も休憩?」
「・・・奇遇ね」
「それでこのプログラムを組んでたんですけど、ここでどうしてもコケるんです。計算通りならこれで上手くいくはずなのに。それで熱くなってきちゃったから頭を冷やしに」
「うーん、ブルースなら良い助言ができるんだろうけどねぇ」
「・・・」
ディスプレイを見せながら溜め息を吐くキャリーに、苦笑しながら相槌を打つクラーク。
なぜだか気が付けば三人でお菓子を囲んで談笑していた。いや、正確には談笑しているのは二人で、自分はただ手持ちぶさたにドーナッツをいじり回しているだけなのだが。
居心地が悪い。
キャリーと自分たちとは仲が悪いと思っていたのに、二人にはそんな屈託があるようには見えない。
「ボスはあちこち飛び回ってるから」
困ったように笑うキャリーは優しい目をしていて、本当に彼を慕っているのだと伝わってくる。
それは、分かるのだけど。
「相変わらずだね。放っておくと無茶ばかりするから、たまには休むように言わないと」
・・・どうして父まで同じような表情をしているのだろう。
仲が悪いと思っていたのに、父と彼はお互いにいがみ合っているのだと、そう思っていたのに。
もやもやする。
手の中のドーナッツは一口大にされすぎて原型を留めていない。ぼろぼろになったひとかけらが何だか蝙蝠にみえて憎らしい。
気付けばぽろりと、ひとりでに口から音が滑り出ていた。
「パパはあの人のことどう思ってるの?」
「ラ、ラーラ? なんだい藪から棒に?」
困り顔で助けを求めるようにキャリーに視線をやる父に、今度はしっかり意識して質問をぶつける。
「あの人のこと、嫌いなんじゃないの?」
「あら、それは私も知りたいわ」
「キャリーまで!」
父の頼みの綱は、どうやらこちらの味方らしい。
「どうなんですか? ボスのこと、どう思ってます?」
「わかった、わかったよ」
少女二人に詰め寄られて、鋼鉄の男は降参だ、と両手を上げた。
「そうだなぁ・・・。腹立たしいと思ったり、間違っていると思ったことはあるけどね」
言葉を切って、困ったように笑う。優しげに目を細めて。
「不思議と、嫌いだと思ったことはないんだよ」
そういえば用事を思いだした、とどこからどう聞いても逃げ出すための言い訳にしか聞こえないことを言いながら父は出ていった。鋼鉄の男は嘘が苦手なのね、などと呟いていたから、キャリーも同じことを思っていたのだろう。
元の通り二人きりだが、今度は気まずさは感じなかった。
「あら、このドーナッツ、なんだかこれ蝙蝠のシルエットに見えない?」
「・・・同じことを思ってたわ」
ふふ、と笑って、キャリーはその蝙蝠をつまみ上げ、そしてまた笑った。
「ねえ、なにがそんなに面白いの?」
「ふふ、あのね、あなたのお父さまには内緒よ? 前にボスに同じことを聞いたときもね」
蝙蝠の形をしたドーナッツを口に放り込むと、彼女はこう言って笑った。
ボスはあなたのお父さまと同じことを言ったのよ。
そもそも父親同士(むこうは父親じゃないがまあ似たようなもの)の仲が悪い。穏やかな父が激昂するときは概ねむこう・・・ブルースが絡んでいる。
ラーラもブルースが嫌いだ。尊敬する父にあんな口を利くなんて! だいたいやり方も気に入らない。罠に不意打ち騙し討ち、相手の嫌がりそうなことを執拗に。敵の虚を突くといってもあれではやりすぎだ。実は、ひょっとしたらノイローゼか何かなのではと疑ってすらいる。
キャリーが父をどう思っているかは知らない。あまり話したことがないからだ。けれどあれだけ忠実に従うのだから、ブルースと同じように、父を嫌っているのだろうと思っている。
だからラウンジでキャリーとはち合わせたとき、彼女にしては珍しく、どうしたものかと悩んでしまったのだった。
気まずいことに他には誰もいない。
だが幸いにして彼女はなにやら端末にかじりついてブツブツ言っていて、こちらには気付いていない。このままUターンしたってーーー
「ラーラ?」
「!!」
ガタン!
・・・空を飛べたって、驚けば椅子にぶつかることもある。目から熱線が出せたって、いきなり後ろから父親に呼ばれれば驚きもする。というか驚くに決まっている。
だから、思わず椅子にぶつかって、その音にキャリーが振り返ったのだって別に自分のせいではない。と思う。
「ああ、キャリーも。こんなところでまで仕事かい?」
「あらクラークさん。お二人も休憩?」
「・・・奇遇ね」
「それでこのプログラムを組んでたんですけど、ここでどうしてもコケるんです。計算通りならこれで上手くいくはずなのに。それで熱くなってきちゃったから頭を冷やしに」
「うーん、ブルースなら良い助言ができるんだろうけどねぇ」
「・・・」
ディスプレイを見せながら溜め息を吐くキャリーに、苦笑しながら相槌を打つクラーク。
なぜだか気が付けば三人でお菓子を囲んで談笑していた。いや、正確には談笑しているのは二人で、自分はただ手持ちぶさたにドーナッツをいじり回しているだけなのだが。
居心地が悪い。
キャリーと自分たちとは仲が悪いと思っていたのに、二人にはそんな屈託があるようには見えない。
「ボスはあちこち飛び回ってるから」
困ったように笑うキャリーは優しい目をしていて、本当に彼を慕っているのだと伝わってくる。
それは、分かるのだけど。
「相変わらずだね。放っておくと無茶ばかりするから、たまには休むように言わないと」
・・・どうして父まで同じような表情をしているのだろう。
仲が悪いと思っていたのに、父と彼はお互いにいがみ合っているのだと、そう思っていたのに。
もやもやする。
手の中のドーナッツは一口大にされすぎて原型を留めていない。ぼろぼろになったひとかけらが何だか蝙蝠にみえて憎らしい。
気付けばぽろりと、ひとりでに口から音が滑り出ていた。
「パパはあの人のことどう思ってるの?」
「ラ、ラーラ? なんだい藪から棒に?」
困り顔で助けを求めるようにキャリーに視線をやる父に、今度はしっかり意識して質問をぶつける。
「あの人のこと、嫌いなんじゃないの?」
「あら、それは私も知りたいわ」
「キャリーまで!」
父の頼みの綱は、どうやらこちらの味方らしい。
「どうなんですか? ボスのこと、どう思ってます?」
「わかった、わかったよ」
少女二人に詰め寄られて、鋼鉄の男は降参だ、と両手を上げた。
「そうだなぁ・・・。腹立たしいと思ったり、間違っていると思ったことはあるけどね」
言葉を切って、困ったように笑う。優しげに目を細めて。
「不思議と、嫌いだと思ったことはないんだよ」
そういえば用事を思いだした、とどこからどう聞いても逃げ出すための言い訳にしか聞こえないことを言いながら父は出ていった。鋼鉄の男は嘘が苦手なのね、などと呟いていたから、キャリーも同じことを思っていたのだろう。
元の通り二人きりだが、今度は気まずさは感じなかった。
「あら、このドーナッツ、なんだかこれ蝙蝠のシルエットに見えない?」
「・・・同じことを思ってたわ」
ふふ、と笑って、キャリーはその蝙蝠をつまみ上げ、そしてまた笑った。
「ねえ、なにがそんなに面白いの?」
「ふふ、あのね、あなたのお父さまには内緒よ? 前にボスに同じことを聞いたときもね」
蝙蝠の形をしたドーナッツを口に放り込むと、彼女はこう言って笑った。
ボスはあなたのお父さまと同じことを言ったのよ。
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