腐った妄想の掃き溜め。 slashの気が多分にあるので要注意。
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松下版。
勝手にインスパイアされて書いた。
相変わらずものすごくよく分かっていない状態な上にもう推敲のしようもない有様でどうしようもない。
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勝手にインスパイアされて書いた。
相変わらずものすごくよく分かっていない状態な上にもう推敲のしようもない有様でどうしようもない。
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彼がこの土地に来てそれなりに時間が経ち、環境にもまあまあ慣れ始めてきた頃のこと。
住めば都とはよくいったもので、長閑で清々しいが不便な環境にも、得意極まりない人々…正確にいうなら特異極まりない少年とその影響を色濃く受けた人々…にも馴染み始め、さほど悪くないと思うようになってきていた。
相手の側にも、徐々にではあるが受け入れられ始めている雰囲気がある。
しかし、それでもいかんともしがたいものがあった。
その少年の第一の側近は、彼ではない。
まだ年端もいかない子供に側近などと大仰な物言いではあるが、それが最もしっくりくる表現だと、彼はそう思っている。
その男はいわば彼の前任者で、元は有数のエリートであったものが何の因果か今は少年の敬虔な使徒であるらしい。何があったのかなど、あまり知りたくもないが。
少年のほうでも随分と男を信頼しているらしく、よほど他の用でもない限り、男を伴っている。
いずれにせよ、少年にとって最も近しい相手は彼ではないということ。
いかに馴染もうと変わる気配のないそれが、彼にとって目下最大の懸案であった。
例え前任者であろうと、今の少年の家庭教師はこの自分だ。
父親から直々に彼のことを任されているのだ。
あの男よりも、誰よりも彼に近しい人間とならなくては!
他にすることもないせいか有り余った闘志を燃やし、何か策があるわけではなかったがとにかく会わなければ話にならない、と散策がてら離れに向かった。
タイミングの良いことに、彼もちょうどどこからか帰ってきたところのようだった。
さらにタイミングの良いことに、問題の側近が見当たらない。
「あれ、蛙男は?いないのですか?」
「ああ、彼は少し別の用があってね」
つい、と動いた目線を追えば、彼がたった今出てきた山の奥。またなにやら怪しげな作業に勤しみ、そして何かの理由で彼だけ戻ってきたのだろう。
よほど山を歩き回ったのか、靴だけでなく膝近くまで泥やら草の汁やらで汚れている。
「随分汚れましたね・・・ちょっとそこで待っていてください、お湯を持ってきますよ」
返事も待たずに風呂場へ急ぎ、大きめのたらいに湯を張って、大慌てで玄関に戻る。
ひょっとしたら無視して部屋に帰ってしまうかもしれない。蛙男のいない今はまさにチャンスだ。なんとしても彼との距離を縮めなければ。
「ああ良かった、まだ居ましたね」
「君が待っていろといったんだろう」
「…そうでした」
ぬるめの湯でそっと足を洗う。
まだ子供の足だ。あれだけ歩き回るのだからもう少し筋肉質かと思ったのだが、むしろ同年代の子供より華奢なくらいではないだろうか。
やはり少し部屋にこもり過ぎなのかもしれない。運動でも勧めてみようか。
清めた足を柔らかいタオルに上げる。大人しくされるがままの子供が珍しく、この時間を終わらせてしまうのが何とはなしに惜しかった。
ゆっくりと、ことさら丁寧に水滴を拭えば、溜息とも吐息ともつかないものが聞こえた。
「少しお疲れみたいですね」
「しばらく歩き通しだったからね…。さすがに足が重いよ」
「そうでしたか…そうだ、マッサージでもしましょうか?」
「マッサージ?」
「ええ。香油か軟膏でもあると良いんですが」
「香油ならあるが…ものは試し、頼もうか。こっちだよ」
彼に従って向かった離れの一室、棚をがさがさやって小瓶をいくつか持ってきた。
「じゃあ、こちらに足を伸ばして座ってください」
それぞれ匂いを確かめて、選んだ一つを少しずつ白い足に垂らす。
初めは香油を拡げて擦り込むように、だんだんと指先に力を入れて、筋を伸ばして、血の流れを促すように。
膝裏辺りを揉み込んだ途端、ぴくりと足が動いた。
慌てて力を弱めて、手の動きを撫でるようなものに変える。
「強すぎましたか?」
「…いや、大丈夫だ、けど、…ふ、ふふ、止せ、ちょっとくすぐったい!」
ぱたぱたと足が暴れて、手は振り払われてしまった。
「う、うわあ、すみません!」
「ふ、ふふ、もう良いよ…。少し軽くなった」
よほどくすぐったかったのか、目尻の涙を拭いながら、軽く手を振る。
「僕はもう寝るからお前は戻れ」
寝るにしては少しばかり不規則な時間過ぎるだろうとか、そんなに疲れるまでどこに行っていたのかだとか、色々と言いたいことはあったはずだというのに、命じられるままに体良く追い払われてしまったのは、あんまり驚いたせいだったに違いない。
彼の笑うところを見たのは、これが初めてだったのだから。
住めば都とはよくいったもので、長閑で清々しいが不便な環境にも、得意極まりない人々…正確にいうなら特異極まりない少年とその影響を色濃く受けた人々…にも馴染み始め、さほど悪くないと思うようになってきていた。
相手の側にも、徐々にではあるが受け入れられ始めている雰囲気がある。
しかし、それでもいかんともしがたいものがあった。
その少年の第一の側近は、彼ではない。
まだ年端もいかない子供に側近などと大仰な物言いではあるが、それが最もしっくりくる表現だと、彼はそう思っている。
その男はいわば彼の前任者で、元は有数のエリートであったものが何の因果か今は少年の敬虔な使徒であるらしい。何があったのかなど、あまり知りたくもないが。
少年のほうでも随分と男を信頼しているらしく、よほど他の用でもない限り、男を伴っている。
いずれにせよ、少年にとって最も近しい相手は彼ではないということ。
いかに馴染もうと変わる気配のないそれが、彼にとって目下最大の懸案であった。
例え前任者であろうと、今の少年の家庭教師はこの自分だ。
父親から直々に彼のことを任されているのだ。
あの男よりも、誰よりも彼に近しい人間とならなくては!
他にすることもないせいか有り余った闘志を燃やし、何か策があるわけではなかったがとにかく会わなければ話にならない、と散策がてら離れに向かった。
タイミングの良いことに、彼もちょうどどこからか帰ってきたところのようだった。
さらにタイミングの良いことに、問題の側近が見当たらない。
「あれ、蛙男は?いないのですか?」
「ああ、彼は少し別の用があってね」
つい、と動いた目線を追えば、彼がたった今出てきた山の奥。またなにやら怪しげな作業に勤しみ、そして何かの理由で彼だけ戻ってきたのだろう。
よほど山を歩き回ったのか、靴だけでなく膝近くまで泥やら草の汁やらで汚れている。
「随分汚れましたね・・・ちょっとそこで待っていてください、お湯を持ってきますよ」
返事も待たずに風呂場へ急ぎ、大きめのたらいに湯を張って、大慌てで玄関に戻る。
ひょっとしたら無視して部屋に帰ってしまうかもしれない。蛙男のいない今はまさにチャンスだ。なんとしても彼との距離を縮めなければ。
「ああ良かった、まだ居ましたね」
「君が待っていろといったんだろう」
「…そうでした」
ぬるめの湯でそっと足を洗う。
まだ子供の足だ。あれだけ歩き回るのだからもう少し筋肉質かと思ったのだが、むしろ同年代の子供より華奢なくらいではないだろうか。
やはり少し部屋にこもり過ぎなのかもしれない。運動でも勧めてみようか。
清めた足を柔らかいタオルに上げる。大人しくされるがままの子供が珍しく、この時間を終わらせてしまうのが何とはなしに惜しかった。
ゆっくりと、ことさら丁寧に水滴を拭えば、溜息とも吐息ともつかないものが聞こえた。
「少しお疲れみたいですね」
「しばらく歩き通しだったからね…。さすがに足が重いよ」
「そうでしたか…そうだ、マッサージでもしましょうか?」
「マッサージ?」
「ええ。香油か軟膏でもあると良いんですが」
「香油ならあるが…ものは試し、頼もうか。こっちだよ」
彼に従って向かった離れの一室、棚をがさがさやって小瓶をいくつか持ってきた。
「じゃあ、こちらに足を伸ばして座ってください」
それぞれ匂いを確かめて、選んだ一つを少しずつ白い足に垂らす。
初めは香油を拡げて擦り込むように、だんだんと指先に力を入れて、筋を伸ばして、血の流れを促すように。
膝裏辺りを揉み込んだ途端、ぴくりと足が動いた。
慌てて力を弱めて、手の動きを撫でるようなものに変える。
「強すぎましたか?」
「…いや、大丈夫だ、けど、…ふ、ふふ、止せ、ちょっとくすぐったい!」
ぱたぱたと足が暴れて、手は振り払われてしまった。
「う、うわあ、すみません!」
「ふ、ふふ、もう良いよ…。少し軽くなった」
よほどくすぐったかったのか、目尻の涙を拭いながら、軽く手を振る。
「僕はもう寝るからお前は戻れ」
寝るにしては少しばかり不規則な時間過ぎるだろうとか、そんなに疲れるまでどこに行っていたのかだとか、色々と言いたいことはあったはずだというのに、命じられるままに体良く追い払われてしまったのは、あんまり驚いたせいだったに違いない。
彼の笑うところを見たのは、これが初めてだったのだから。
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