腐った妄想の掃き溜め。 slashの気が多分にあるので要注意。
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松下版。
相変わらずよく分かっていない状態で書いたがそれで良いことにする。
某ボカロの超有名曲が佐松だとかそうでないとかそういうアレで。
窓を開けてくれたのはポマードの人だと思う。
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相変わらずよく分かっていない状態で書いたがそれで良いことにする。
某ボカロの超有名曲が佐松だとかそうでないとかそういうアレで。
窓を開けてくれたのはポマードの人だと思う。
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一瞬、眠っていたようだった。
広い寝室、大きな寝台。腰掛けた分厚いマットレスの弾力は程良く、なめらかな手触りのシーツは舶来の高級品。
上品な間接照明といい、プレイヤーに置いたままだったクラシックのレコードといい、眠気を誘われても仕方がないかも知れないが。
「・・・疲れているのかな」
妻に見つかる前で良かった。
美しく穏やかな妻だが、自分を待たずに眠りこける夫を見ればさすがに機嫌を損ねるだろう。
女性の入浴は長いものと相場が決まっている。男児たるもの、それくらい待てなくては。
脇に目をやれば、数年前なら名前も知らなかったような洋酒。正面の大きな窓には緻密な刺繍のカーテンがかかっているが、開けば見事な摩天楼の夜景が見渡せるだろう。
レコードでも替えようかと腰を上げたのと、妻が入ってきたのは同時だった。
甘いバスコロンの香りをベッドに迎え入れて、明かりを落とす。
求めた全ての物が、手の中に。
望めばもっともっと、何だって手に入る。
夢のようだ。
部屋を満たす芳しい香りも、腕の中の温もりも、何もかもが夢のよう。
いっそ、現実味を感じないほどに。
細い首。細い手足。
山間の豪邸。
高原特有の碧い匂いのする柔らかい陽射しが、開いた障子の隙間から差し込んでいる。
白い首。白い手足。
音は聞こえない。
いや、微かに聞こえている。ずっと、白色雑音のような耳鳴りが。
両手に全身の体重をかけて、畳の上へ。畳の上に寝そべっている、細い手足の持ち主の、その首へ。
細い細い首。よくこれで頭を支えられるものだと、そんなことを思ったりもしたものだ。
両手の間で微かな振動、そして静かな、何かがおれるような鈍い衝撃。
目を開くと、泣きそうな顔をした妻が自分をのぞき込んでいた。全身に汗をかいているのに、頭だけが氷水を浴びたように冷えきっている。
聞けば、あまりに魘されているものだからと見かねて揺り起こしたらしい。
何か飲み物を入れてくる、と部屋を出ていく彼女の姿、その細い首。
夢で感じた感触が手の中で再生される。
細い首、微かな呼吸を示す振動が、少しずつ乱れて、そして。
カーテンを開き、窓の向こうの街明かりにすがりつくようにして、必死で嗚咽を抑えた。
頑丈なはめ込み式の窓は、拳をぶつけてもびくともしない。
ああ、この窓が開けば良いのに。
そうしたら、あの明かりの中に飛び込んで、そうしたらきっとこんな悪夢からは覚められるに違いないのに。
錠前を開けるような小さな金属音がして、開かないはずの分厚いガラスが、ゆっくりと開いていった。
呆然と見守るうちに、すっかりガラスは姿を消して、都会の夜の温い風が吹き込んでくる。
目の前には明かりの群れ。
ああ、夢のようだ。
広い寝室、大きな寝台。腰掛けた分厚いマットレスの弾力は程良く、なめらかな手触りのシーツは舶来の高級品。
上品な間接照明といい、プレイヤーに置いたままだったクラシックのレコードといい、眠気を誘われても仕方がないかも知れないが。
「・・・疲れているのかな」
妻に見つかる前で良かった。
美しく穏やかな妻だが、自分を待たずに眠りこける夫を見ればさすがに機嫌を損ねるだろう。
女性の入浴は長いものと相場が決まっている。男児たるもの、それくらい待てなくては。
脇に目をやれば、数年前なら名前も知らなかったような洋酒。正面の大きな窓には緻密な刺繍のカーテンがかかっているが、開けば見事な摩天楼の夜景が見渡せるだろう。
レコードでも替えようかと腰を上げたのと、妻が入ってきたのは同時だった。
甘いバスコロンの香りをベッドに迎え入れて、明かりを落とす。
求めた全ての物が、手の中に。
望めばもっともっと、何だって手に入る。
夢のようだ。
部屋を満たす芳しい香りも、腕の中の温もりも、何もかもが夢のよう。
いっそ、現実味を感じないほどに。
細い首。細い手足。
山間の豪邸。
高原特有の碧い匂いのする柔らかい陽射しが、開いた障子の隙間から差し込んでいる。
白い首。白い手足。
音は聞こえない。
いや、微かに聞こえている。ずっと、白色雑音のような耳鳴りが。
両手に全身の体重をかけて、畳の上へ。畳の上に寝そべっている、細い手足の持ち主の、その首へ。
細い細い首。よくこれで頭を支えられるものだと、そんなことを思ったりもしたものだ。
両手の間で微かな振動、そして静かな、何かがおれるような鈍い衝撃。
目を開くと、泣きそうな顔をした妻が自分をのぞき込んでいた。全身に汗をかいているのに、頭だけが氷水を浴びたように冷えきっている。
聞けば、あまりに魘されているものだからと見かねて揺り起こしたらしい。
何か飲み物を入れてくる、と部屋を出ていく彼女の姿、その細い首。
夢で感じた感触が手の中で再生される。
細い首、微かな呼吸を示す振動が、少しずつ乱れて、そして。
カーテンを開き、窓の向こうの街明かりにすがりつくようにして、必死で嗚咽を抑えた。
頑丈なはめ込み式の窓は、拳をぶつけてもびくともしない。
ああ、この窓が開けば良いのに。
そうしたら、あの明かりの中に飛び込んで、そうしたらきっとこんな悪夢からは覚められるに違いないのに。
錠前を開けるような小さな金属音がして、開かないはずの分厚いガラスが、ゆっくりと開いていった。
呆然と見守るうちに、すっかりガラスは姿を消して、都会の夜の温い風が吹き込んでくる。
目の前には明かりの群れ。
ああ、夢のようだ。
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